開発秘話
☆こんな方に
・アイデアを出すのが好き
・頭を使って、頭をほぐしたい
・キャンプに新しい遊びが欲しい
囲碁への対抗心から生まれたゲーム
この対戦ゲームは「CUBOID(キューボイド)」といいます。
商品化される前に10年ほど寝かせていたゲームなのですが、クリエイティブユニットTENTさんと一緒に、アイデアジャンキーのためのプロジェクト「idontknow.tokyo」を立ち上げた際、さてどんな商品を作ろうかというブレストのテーブルに上げたところ「これは面白い!」ということで、さらにルールを練り上げて商品化したものです。
これを思いついたとき、僕は囲碁にめちゃくちゃハマっていまして。当時会社勤めだった僕は昼休みに同僚と毎日のように囲碁を打ち、そしてその楽しさ、奥深さにハマっていくとともに、「自分もこんなゲームを作りたい!」という思いがふつふつと湧き上がってきました。
囲碁を知らない方のために一応説明しますと、2人のプレイヤーが、白黒どちらかの石を担当します。お互いに石を1つずつ盤の上に置き、最終的に自分の色の陣地が広かったほうが勝ち、というゲームです。もちろん、戦うような局面もあり、ずーっと前に置いていた布石が後になって生きてくる、という大きな戦略的な場面もあり、もうほんとに面白い。
それなのに、使うのはマス目の入った盤と、白黒の石だけ。究極の要素です。問題があるとすれば、シンプルが故にルールがわかりにくいのと、周りで見ていても「今どうなっていて、どういう意図で石をおいているのか」がさっぱりわからない笑。
そんなわけで、そこをシンプルにわかりやすくし、プレイ時間も短くしながら、同様の面白さを詰め込んだものができないかと生まれたのが、このゲームなのです。
最初に決めていたのは「陣取りゲーム」にはしないこと。それだと、囲碁の下位版になってしまいます。ぼくがやりたいのは「囲碁と同列のものを作ること」なので、同じルール、同じゴールにはしない。でも、同じように白黒のコマと盤のみ。どこにおいても良い、という縛りの中でつくる。そんなことを決めて作り始めました。
東急ハンズで買った木のキューブを弄びながら考えること数週間。「自分の陣地と相手の陣地をつなぐ」というルールをひらめきました。アリやウサギなどが、地下で巣をつくるイメージです。ということは、絡まり合っても面白いのかも?ということで、コマの上にコマを乗せても良いというルールが誕生。
そこから商品化せず(そのやり方が分からずに)に寝かすこと10年。idontknow.tokyoのメンバーと、さらにより良くするルールを定め、この形になって世に出たのでした。
このゲームの何が面白いかというと、「今どうなっているのか」が、周りの人にも分かるのです。なので2人対戦ゲームなのに、外野が「いやそこは…!」「あっちのほうが良いんじゃ?」とうるさくなってしまうんですよ。そういう意味では、みんなで楽しめるゲームと言えると思います。
焚き火を囲いながら、じっくりと自分の戦略と向き合う。そんな時間があってもよいのではないでしょうか。
文:デザイナー角田 崇