開発秘話
☆商品の詳しい解説は
オフィシャルサイトにて
☆こんな方に
・とにかくカッコいいナイフが欲しい
・バトニングから調理まで、1つのナイフで完結したい
・柄の部分が汚れるのが嫌だった
「つくりたいものをつくる」の大変さを思い知る
ナイフは男のロマン。僕も例に漏れずいくつもナイフを買ってしまうタチなのですが、メーカーとしては、それを所有するだけでなく、自分でも作りたい!そんな欲がむくむくと湧いてきまして。
YOKA GRIDDLEのところでも書いたように、「インスタの写真に載る」ことを目標にした場合でも、これがラインナップにあるということは非常に強みになるに違いない。よし、作ろう!そんなノリで始めた企画でした。
デザイナーにもいろいろなタイプがあると思いますが、デザインをするときに「ここからはみ出てはいけない」という範囲があるほうが、僕はやりやすいタイプなのです。プロレスやボクシングのリングのようなものです。あの中での最強を目指すということ。
中国のメーカーに聞いたところ「どんな形でも作れます」とのこと。夢のような話ですが、正直デザイナーにとってはこれが一番きつい。先程の戦いの話でいうと、「世界のどこでも対戦して良い。どんな道具を使っても良い」と言われているようなもの。要素が多すぎてしまって、何をどう戦ったら良いのかわからなくなってしまうのです。
作りたい気持ちはありつつ、作りたいものが明確にあるわけではない。そんな日々を過ごしていたのですが、海外の動画を見ていて「クリーバーナイフ」を使ってキャンプをしている動画に行き当たりました。クリーバーナイフとは海外の肉切り包丁で、骨ごと肉を切るための大型の包丁です。これをあえて使って、様々な料理を作ってく。なんてかっこいい!!
ただ、クリーバーナイフは本格的すぎるし大きいし、誰にも売れないだろうと。だったら、この形のかっこよさ、骨まで切っちゃうというイカツさを残しつつ、キャンプで使えるミニナイフに仕立てたら良いのでは!?
そんなわけで、このナイフのだいたいの方針が決まりました。
ただ、ナイフをいろいろ持ってはいますが、作ったことはありません。ナイフメーカーさんと相談しつつ、様々な文献をあさっていく日々。そんななかで、ナイフの柄の部分も全部金属で出来ているナイフを発見しました。
僕が作りたいのは、薪も割れるような「フルタング」のナイフ。それは刃で使われている金属が、握りの部分にも入り込んでいるもの。通常この握りの部分に入り込んだ金属を、両側から木やプラスチックなどでサンドして握りやすくしていますが、この部分を排除し、ぺたっと1枚の板で握りから刃先までが出来上がっている。なんとシンプル。
早速そのナイフを手に入れて使ってみたのですが…うーん微妙に使いにくい。要は、握りの部分を太らせていないので、持ちにくいのです。手の中で持て余してしまうというか。
やっぱだめなのか?とも思いましたが、1つアイデアをひらめきます。横方向でなく、縦方向に太らせたら!?
実際に作ってみることはできないので、実物に似た厚みのスチレンボードで試作をしてみたところ、これはいけそう!でもここが良くない、ここが良くない、と試作地獄に…
実際には上の写真は一部で、20個以上別のパターンを作りました。
そしてようやくこれ!という形状に行きつき、こんどは実際に試作&使ってみるの繰り返し。とんでもなく長い期間がかかります。
刃のカーブも、なぜか図面のとおりに出てきません^^;
「そうじゃなくてこう!」
「いや、そっちじゃなくてこう!」
というやり取りを無限に繰り返し、ようやく形に。
出てきた完成品でトマトが「スッ」と切れたときには、本当に感動しました。
そんなナイフです。
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ナイフの初期試作が活躍する動画です。この頃はこんな形だったんですね…